2010年4月24日土曜日

隠れた山寺へ


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平成18年から20年まで三豊市の豊中中学校でALTとして勤め、毎日本山寺の前にある道を通って通勤していたが、その2年間一度も境内には入らなかった。平成22年4月24日の外国人のための四国八十八ヶ所遍路体験で初めてこのお寺を訪ね、国宝である本堂のきれいな屋根と空に聳える五重塔を見ると「早く来ればよかったのに」と思った。
のどけしや 五重塔を 仰ぎけり

本山寺を出発し、北へ向かった。三豊市に点在する数多くの貯水池やゆるやかに起伏する平野を通り、次第に急になる坂道を11キロ歩いて、剣五山の麓にやってきた。山道を登り、俳句茶屋や賽の河原、金剛拳菩薩などを見ながら弥谷寺にたどり着いた。不思議に感じたのは、その山の懐に隠れているお寺は下から見えないが境内から見下ろすと三豊市全体が見えるということであった。本当にきれいな景色であった。

懐に 隠れる寺の 春うらら

弥谷寺の大師堂になる「獅子の岩屋」という洞窟で住職にお寺の歴史や文化、例えば「弥谷寺参り」という風習などについて説明していただいた。その後、弥谷寺の本堂と磨崖仏を見てから、険しい遍路みちくだりに挑戦した。路の一部が崩れ、一部が小川になっていたので下りるのが危なく感じられたが、木の枝を貫く木漏れ日はとても美しかった。海岸寺駅までの最後の6キロをゆっくりと歩き、穏やかな夕暮れの下で第5回の遍路体験はおしまいになった。
 
山裾の  林を抜ける  遍路かな

(2010年4月24日)