2011年10月29日土曜日

最も高い霊場へ

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平成23年10月29日。朝8時ごろ、香川県の西部にある観音寺市から、外国人遍路一行はバスで出発した。当日の目的地は、駅やバス停からだいぶ離れている雲辺寺であった。南に聳える山に向かい、結構な距離を走ると、大正時代の建築である豊念池ダムで休憩した。高いダムが真っ青な空に輪郭を描きだしていた。この建築物の歴史や、ダムに貯められている水の圧力を考えてみると感動すると同時に自分をとても小さく感じてきた。

秋高し  豊念池の ダム映ゆる

もう一度バスに乗り、香川県、徳島県及び愛媛県から道を集める旧曼陀峠分岐に降り立った。お遍路さんの服を身に付け、坂道を登りだした。遍路道からは、遠山の景色が素晴らしかった。歩きながら、沿道に咲いている花や青々とした木々、植物などを満喫した。

ゆらゆらと 輝く芒 道進む

遍路道を6キロ以上歩いて、四国霊場のうちで、最も高い位置にある寺院である雲辺寺にたどり着いた。澄んだ空気や古い木々に、きれいに整備されているお寺が立派だった。大師堂の近くに、マニ車というものがあり、1回まわすと、お経を1回唱えるのと同じ御利益があるとされている。参加者全員が順番に回してみた。

秋の峰 御利益恵む マニ車

お弁当の休憩を取り、残っている時間で山頂を散策した。本堂から少し離れている場所に珍しい寝釈迦や展望台、麓から頂上まで上がってくるロープウェイなど、様々な見所がある霊場であった。でも一番印象に残っているのは、五百羅漢という石で作られている仏像であった。静かで落ち着いている普通の仏像ではなく、この羅漢は変わった表情や髪の形を施し、お酒を飲んだり、爆笑したりする様子で仏様にはあまり考えられない振舞いばかりであった。この楽しい仏像群が帰り道沿いで見送りしてくれた。

初紅葉 頬赤らめる 羅漢たち

私たちは一気に急な坂道を下り、太陽の光を浴びながら豊かな自然を楽しんだ。それから、空海の遺産や遍路道の歴史を良く考えながら、霊場巡拝が持つ意味の理解を深めた。帰りのバスが待っている場所に着き、お遍路さんの服をきちんと畳み、金剛杖や菅笠をしまい、一日の歩き遍路の冒険を終了した。

(2011年10月29日)