2010年11月14日日曜日

五色台の冒険

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私たち、外国人遍路一行は、平成22年11月14日に落ちついた佇まいの国分寺に集まり、境内で参拝してから五色台の険しい坂道を登り出した。頂上に近づくにつれてハアハア言い始めたが、頂上よりちょっと下の場所で皆が元気を取り戻す体験があった。種を手のひらに置いていると周りの木々から山雀という小さな鳥がやってくるという話を聞いたので、実際にやってみると、話の通り、沢山の小鳥がやってきたのであった。手のひらに止まり、種をつつく山雀のわずかな重さを手のひらに感じると心から暖かい喜びが沸いてきた。
山雀に 種ささげては 歓喜かな  

五色台の頂上にたどり着いた後、白峯寺に向かった。ときどき、木々の間から讃岐平野に点在している小山に赤く燃える紅葉が望めた。白峯寺に到着し、本堂で参拝した。本堂の横には黄色いもみじの木が鮮やかに輝いていた。仏様の存在が感じられるようであった。

鮮やかに 残る黄葉や 白峯寺  

白峯寺から根香寺にかけて繰り返されるアップダウンを何キロも歩き疲れてきた頃に、ようやく根香寺に着いた。副住職にお寺の由来や歴史、伝説などを教えていただき、その中でも「牛鬼」の伝説の話が印象に残った。話によると、かつて周りの庶民を困らせた牛鬼は、お寺で21日祈祷した弓の射手に退治され、その鬼の角が現在もお寺に伝わるとされている。山門の横には伝説の牛鬼がかぎ爪を広げて身構えていた。

冬紅葉 じっと見つめる 牛鬼像

根香寺を去り、五色台の下り道を道なりにゆっくり鬼無駅へ行った。18キロの道を歩いてきた私たちは、本当に満足であった。
(2010年11月14日)

2010年4月24日土曜日

隠れた山寺へ


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平成18年から20年まで三豊市の豊中中学校でALTとして勤め、毎日本山寺の前にある道を通って通勤していたが、その2年間一度も境内には入らなかった。平成22年4月24日の外国人のための四国八十八ヶ所遍路体験で初めてこのお寺を訪ね、国宝である本堂のきれいな屋根と空に聳える五重塔を見ると「早く来ればよかったのに」と思った。
のどけしや 五重塔を 仰ぎけり

本山寺を出発し、北へ向かった。三豊市に点在する数多くの貯水池やゆるやかに起伏する平野を通り、次第に急になる坂道を11キロ歩いて、剣五山の麓にやってきた。山道を登り、俳句茶屋や賽の河原、金剛拳菩薩などを見ながら弥谷寺にたどり着いた。不思議に感じたのは、その山の懐に隠れているお寺は下から見えないが境内から見下ろすと三豊市全体が見えるということであった。本当にきれいな景色であった。

懐に 隠れる寺の 春うらら

弥谷寺の大師堂になる「獅子の岩屋」という洞窟で住職にお寺の歴史や文化、例えば「弥谷寺参り」という風習などについて説明していただいた。その後、弥谷寺の本堂と磨崖仏を見てから、険しい遍路みちくだりに挑戦した。路の一部が崩れ、一部が小川になっていたので下りるのが危なく感じられたが、木の枝を貫く木漏れ日はとても美しかった。海岸寺駅までの最後の6キロをゆっくりと歩き、穏やかな夕暮れの下で第5回の遍路体験はおしまいになった。
 
山裾の  林を抜ける  遍路かな

(2010年4月24日)